03月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫05月

~自分を傷つけたくなったら 1 ~

2017/11/03
みなさん、こんにちは。
今回は、自分で自分の身体を傷つけてしまうことについて、考えてみたいと思います。


 刃物などで自分の皮膚を傷つける。想像するだけでも痛いです。しかし、診察の場ではしばしば目にします。これは決して他人事ではありません。特殊な状況や特別な人でのみ起こることでは無いのです。


 自分で自分の身体を傷つけてしまう行為は自傷行為と呼ばれています。その中でも、利き手と反対側の腕や手首に刃物で傷をつける行為が最も多くみられます。リストカットといわれますが、自傷行為の中には人に見られない大腿部や腹部を傷つける例も少なくありません。


 自傷行為をする人の中には、死にたい気持ちがつよい人もいます。一方で現状のつらい気持ちをなんとかしたい、その一心から自傷行為に走ってしまっている方も多いように思います。


『自分の皮ふを切って赤い血をみるとスーッとする』『血をみるとつらく苦しい気持ちが切り替わる』とおっしゃる人もいました。ぽっかり大きく空いた空虚感・自分を際限なく責める気持ち・他者と比べどうしようなく劣っていると思ってしまう強い劣等感・・・つらく苦しい気持ちでいっぱいいっぱいになってしまい、どうすればいいか分からなくなった時、自傷行為が始まるようです。


 自傷行為は放っておけばおさまるものではありません。簡単には解決できない心の負担があるに違いありません。・・・2につづく・・・

参考文献 
思春期のこころの病気
市川宏伸
15:50 未分類

認知症とともにいきる ~その4~

2017/10/02
みなさんこんにちは。

前回、物忘れで苦しむお年寄りをもっと苦しめるものとして以下の場合があると伝えました。①ものの見方や捉え方が以前と比べ極端に変わってしまうことがある。②事実でないことを本気で信じてしまうことがある。③それらによって、最も身近で汗を流す介護者が追い詰められてしまうことがある。


事実でないことを、本気で信じてしまい、説明などで訂正ができない状態を『妄想』といいます。お年寄りの場合、妄想のなかでも『被害妄想』が非常に多いです。


その中でも一番多いのは『物盗られ妄想』でしょう。多くの場合「介護者が金品を盗んだ」と大騒ぎになります。一度であれば、周りがそれに左右されることはありません。しかし、何度もそのような騒ぎになると、周りは介護者を問いただし、時にきつく責めることもあると聞きます。


他には、「夫が浮気をしている」「妻が浮気をしている」というような『嫉妬妄想』も多くみられます。これについては、していない事を説明する事自体難しいため、周りが巻き込まれてしまい、良かれと思って関わっていた人も悪者にされてしまうことがあります。


これらの妄想への対処方法ですが、理路整然と理詰めで話しても多くの場合うまくいきません。むしろ、敵扱いされてしまい、より態度が頑なになってしまうかもしれません。ここは反論したい気持ちをぐっとこらえて、まず耳を傾けることが大事です。これによって信頼関係が芽生えてきます。ここで注意すべきなのは、否定や反論をしないわけですが、だからといっておっしゃることを全面的に肯定してもいけないということです。


また、妄想の対象となった方は関わりを減らした方が良いでしょ。根本的な解決方法ではないですが、他者を入ることで良くなることもあります。


上記の方法で良くなることは少なくありません。しかし、よくならなかった場合、早めに精神科専門医を受診し、認知症に伴う妄想を緩和する薬物療法を開始した方が良いでしょう。お年寄りは薬が効きやすいです。劇的に改善することも少なくありません。
昨今、介護に関わる事件が残念ながら頻発しています。その多くは、感情のこじれからきていると思います。どの人もみな良い人だったはずです。悲劇を防ぐためにも、早めに相談してください。


08:43 未分類

認知症とともにいきる ~その3~

2017/09/01
みなさんこんにちは。

前回、前々回と認知症とその困った症状についてお伝えしました。
①認知症では、物忘れそのもので困るよりも、それ以外の症状で困ることの方が多い ②対処方法があるため、悩むよりも専門医(精神科医)に相談する方が得策である。
ということでした。

今回は、それに引き続いてのテーマとなります。
「お年寄りになって、あの人は性格が変わってしまった」「疑い深くなってしまった」「以前よりも怒りっぽくなって、近づきにくくなってしまった」ということはよく聞かれると思います。


多くの場合で、事実でないことを本気で信じ込んでしまうか、些細なことを極端に大き捉えてしまっている場合が多いと思います。説明して訂正できれば良いのですが、そうでない場合、疑われた方は執拗に悪口を言われ、精神的苦痛を味わうことになります。


悪口を言われた方は、頭では認知症だからと冷静になろうと努めます。しかし、人間はロボットではありません。心の中では腸が煮えくり返っている場合がほとんどでしょう。


多くの場合、最も身近で介護を行い、一番汗を流して貢献している人が攻撃対象となり、罵詈雑言を浴びせられます。そして、殆ど何もしない人がお年寄りには良い人と映り、感謝の言葉がかけられます。介護者にとっては遣りきれるものではありません。


その結果、身体機能はそれほど悪化していないのに、施設へ追いやられてしまうケースが多いです。


このようなケースを防ぐことはできないのでしょうか?このような症状を緩和することはできないのでしょうか?


次回、それについてお答えします。

22:15 未分類

認知症とともに生きる~その2~

2017/08/01

◯認知症の方に意欲低下が目立ってきたらどうしたら良いか


前回「認知症の方に意欲低下が目立ってきたら、周りはどうしたら良いか」について一緒に考えてみました。意欲低下の放置が寝たきりにつながりうることもお伝えしました。では、どうしたら良いのでしょうか?


◯元気を出してもらうために、周りがご本人を外にお連れする
これは、一見良さそうに見えます。周りの家族にとっても、お年寄りの笑顔が見られればそれこそ親孝行ですし、頑張りがいがあると言うものです。しかし、ここでもう一度思い出してみてください。認知症の方は、脳を動かすことが大変つらいのです。普段接しない方と普段いかない所に行き、普段しない事をすることは、元気な人にとっては活力につながります。しかし、認知症の方にとっては、苦行でしかありません。プライドが消えることはありませんから、どんな人も失敗したくありませんし迷惑をかけたくありません。ご本人は外出している間、周囲の状況をできるかぎり把握して、失敗しないように失敗しないようにと大変な努力をしているはずです。周りの悲しむ顔を見たくないでしょうから、極力笑顔でいることでしょう。楽しめる気持ちにはなかなかなれないのがお分かりいただけると思います。


ではどうしたら良いのでしょうか?
◯行き慣れた所(自宅でも良い)で慣れ親しんだ事を一緒に楽しむ
まず、新しいことや新しい行き先は避けるべきでしょう。当人が無理なく楽しめることや、得意なことを一緒に行いましょう。手伝いや促しが必要な場合はさり気なく行いましょう。もともと得意なことであれば、周りの手伝いがあればきっと上手くできるでしょう。うまくできた場合は『さすが』『上手いな~』などの一言があるとより良いでしょう。
ご本人の楽しかった。プライドが満たされた。という気持ちを大事にしていけば、次のお誘いにものっていただけると思います。


しかし、家族だけでの対応には自ずと限界があります。たまの休日だけならともかく、それ以外の対応は通常難しいと思います。その場合は、外部の専門家に頼っていただいてはどうでしょうか。
認知症の専門家である精神科などに問い合わせてみてください。物忘れの方向けのデイケアを提供しているところがあります。そこであれば専門スタッフによる温かいケアを受けられるでしょう。色んな方とともに、より良い方向を無理なくめざしていけると良いですね。
07:54 未分類

認知症とともに生きる~その1~

2017/07/01


みなさんこんにちは。今回は認知症についてお伝えしたいと思います。
日本は高齢化社会と言われて随分経ちます。多くの方が長生きできるというのは、大変すばらしいことです。一方で、物忘れなどで苦しむ人が増えているのも事実です。


物忘れだけであれば、周りの方もご本人もそれほど大きく困ることはありません。むしろ、物忘れ以外の症状で、家族や本人の生活に支障をきたすことが圧倒的に多いのです。以下に物忘れ以外で認知症の方に起こりやすい症状を取り上げてみます。


◯意欲低下
意欲低下は認知症の初期の段階からよくみられる症状です。女性であれば、あまり身なりに気を遣わなくなったら要注意と言えます。男性であれば、『散歩の習慣があるのに最近家から出ようとしない』『いつも行く囲碁や将棋の集まりに行こうとしない』などがあれば、周りは気をつけるべきでしょう。
自発的に・意欲的に行動するというのは、認知症以外の健康な人にとっては、極めて普通のことです。しかし、意欲的に行動するというのは、実は脳にとって大変負担のかかることなのです。脳を上手く動かすことができなくなってきた方にとっては、荷が重いことなのです。


では、どうしたら良いのでしょうか?本人の意思を尊重して、意欲低下を放置するというのはどうなのでしょうか?本人の気持ちを尊重するというと、一見正しいことのように思えます。しかし、寝床から出るのは食べる時とトイレに行く時だけの生活になってしまうかもしれません。そうなったら、どんな人でも夜寝られなくなるでしょう。生活リズムが崩れ、認知症は一層進行するに違いありません。そして身体を殆ど動かさない訳ですから、筋力が急激に低下してくることでしょう。ちょっとした段差でつまづいてしまうかもしれません。転倒して骨折などになってしまったら、本当に寝たきりになってしまいます。


では、どのように対処したら良いのでしょうか?


次回、対処方法の一部をご提案をしたいと思います。
13:28 未分類
« Prev | HOME | Next »