うつ病とからだの痛み
2016/12/02
うつ病とからだの痛み
うつ病は精神的な病気であると考えられがちですが、うつ病の症状には、気分の落ち込みや意欲の減退などの精神に現れる症状と、睡眠障害や倦怠感など身体に現れる症状の2種類があります。
中でも、うつ病を患う人の6割ほどが、身体症状に分類される「体の痛み」を訴えるといわれています。
うつ病になると体が痛む原因の一つには、精神伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンの働きが関係していると考えられています。
本来、セロトニンとノルアドレナリンの働きが正常な場合は、痛覚は適度に抑制されています。ところが、うつ病になるとセロトニンとノルアドレナリンの分泌が減少し、それらの物質が担っていた痛覚を制御する作用が弱まり、痛みに過敏に反応するようになってしまいます。
又、もう一つの原因としては、ストレスによって交感神経が過敏に興奮し、血流が悪い状態が続くと、疼痛物質やその代謝物が蓄積してしまい易く、時間が経つと痛みは増幅されていき、その結果、より強い痛みを感じ易くなるようになっていきます。
痛みは、体の様々な部位に現れ、現れる箇所は人によって異なりますが、特に頭や肩、胃に痛みが現れる人が多いような印象を受けます。
うつ病では体が痛むことは一般にはあまり知られていないため、体の痛みを感じていても、それがうつ病のサインであることに気づかず、相談が遅れ、うつ病が悪化してしまうケースや、或いはうつ病の治療を受けていても、体の痛みとうつ病が結びつかずに、治療の際にも症状として申告されずに、痛みに対する適切な治療が遅れてしまい、痛みが慢性化してしまうケースなどがあります。
もちろん、体の痛みの原因が全てうつ病であるというわけではありませんが、体に何らかの原因不明の痛みや違和感を感じる場合などは、うつ病の疑いもあるということを覚えておいたほうが良いでしょう。特に日常生活に強いストレスを感じている場合や、気分の落ち込み、不眠などを伴う場合には注意が必要です