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依存症について考える  その4

2018/11/01
みなさん こんにちは。
 引き続き依存症の治療について考えていきましょう。まず、前回のブログをお読みでない方はお読みください。また、そもそも何かに依存していない。もしくは、依存しているかもしれないが、それに関連しての困りごと(周りのそれも含む)もない―という方は、今回のブログを読んでも得るものは無いかもしれません。

 まず、アルコール、薬物、違法ドラッグに関しては、ある程度進行してしまうと、もしくは相当初期から一般の医療機関では治療は難しいと思います。保健所等に相談なさったりネットでの検索を活用して、依存症専門医がおりかつ入院施設等を持っている病院に受診されるべきです。遠方であっても治療の費用対効果を考えれば、そちらを受診すべきでしょう。
 それ以外の方については、精神科専門医または精神保健指定医の資格を有している精神科医のいる医療機関を受診されるのが良いと思います。

 食事への依存、ゲーム・ケータイ・ネットへの依存、買い物への依存、恋愛等への依存、タバコやギャンブルへの依存など、依存にはいろいろあります。
 依存にいたるきっかけとして、「怒られて気分が落ち込んでしまった」「xxとけんかして落ち込んでしまった」「そもそも気分が晴れないので、食べると少しましになるので、食べてしまう。そして、太りたくないので吐く」など様々でしょう。
 気分を持ち上げるために買い物をしすぎてしまう、辛さから逃れるためにたくさん食べすぎてしまう―というのは比較的多いといえます。この場合、まずご自身の気持ちを考えてみるべきかもしれません。気分のレベルや落ち込みやすさというのは、ご自身で考えても点数化できるものでもなく、そもそも標準的なレベルとは何なのかも分かりません。受診してみると、「普通だと思っていたのが、実は慢性的なうつ状態だった」「気分の波が治療を要するていどの大きなものだった」となるケースもあると思います。

 この場合、そちらの治療をすることで、依存が緩和されることも多いでしょう。また、生活習慣自体が、依存症形成の原因の1つとなることもあります。第三者が生活のパターンを客観的に把握していくことで、その人が普通と思っていた行動が実はそうではなかったというのはよくあることです。
 1つの気づきでその後の生活が大きく変わっていくこともあるでしょう。

 依存でお困りの方は、一歩踏み出してはいかがでしょうか。
15:20 未分類

依存症について考える  その3

2018/10/01
みなさん こんにちは。
 前回まで、依存症について考えてきました。

 依存症は、正常と異常の区別をつきにくい疾患です。しかし、大変な状況に陥る方がいるのも事実です。医療機関での治療となった場合、破滅的な状況を回避するために、入院治療が必要となる場合が少なくありません。そうなると、学校や仕事を休まないといけませんし、それによってその方の人生設計が大幅に変わってしまう可能性もあります。(入院治療を否定している訳では決してありません。むしろ大変重要だと思います)

 悪くなる前に、もっとやるべきことがあったのではないか。医師としてそう思います。しかし、具体的で有効なアドバイスを医療サイドがあまりしてこなかったということも、大きな反省点だとも思います。
 今回、明日からでもできることをお伝えします。

 外来で診察していて思うのは、どの程度時間やお金を費やしたかを、多くの場合把握してらっしゃらないということです。まず最初に行うべきことは、毎日の記録をつけることです。もちろん、依存しているのではないかと思うことについてです。
 その場合、正確である必要はありません。毎日である必要もありません。スケジュールをみて、余裕がありそうな日を探しましょう。そして、その日は記録の日とスケジュール帳に書きましょう(または入力しましょう)。
 できれば、その行為をした直後にメモ等をとっていただくと良いと思いますが、寝る前に思い出して、おおよその時間を書くことでもOKです。ここからが大事なのですが、その時の気分や原因かもと思ったことを書きましょう。また、買い物やアルコール/タバコ依存を疑っている方は、金額やその量も記入しましょう。その1日の時間、金額、量を集計しましょう。これも正確でなくて結構です。(1時間15分なら、1時間でのカウントで構いません)

 毎日している人は、それに400をかけてみましょう。週1回の人は、50をかけてみましょう。それが約1年分の集計結果になります。
 別に大したことないなと思ったら、それで終了で良いと思います。びっくりしたら次回のブログをお読みください。
00:27 未分類

依存について考える その2

2018/09/02
 みなさん こんにちは。前回の話をまとめてから、今回の話に入っていきましょう。前回はどの人も依存を持っていること。(病的な)依存症と依存は質的に異なること。(病的でない)依存から依存症にならないためには、まず脳のメカニズムを理解すべき―という話でした。

 では、依存と脳について考えてみましょう。
 人が心地良さを強く感じると、ドーパミンが大量に放出されます。ある行動をしたときに心地良かった場合、ドーパミンの作用等により心地良さと行動が関連あるものと、脳に刷り込まれていくのです。これにより、行動による快感に脳が強く反応してしまうようになります。やればやるほど、より一層はまってしまうという悪循環におちいります。これが、依存症形成のメカニズムです。(非常に大雑把な説明であることをご理解ください)
 どのように依存が始まり、依存症になるのかをみてみましょう。大まかに5つの段階に分けてみます。

1.試しにやってみる
 アルコール依存症を例に取りましょう。アルコール依存症になるにはそもそもクリアすべき条件があります。①お酒を飲める体質であること②飲める(飲まざるをえない)環境にいる③飲む回数が増えるきっかけがある ―この3つが大量飲酒の要因といえます。

2.稀だったのが日常的にになる
 この段階では、まだやめたいときにやめられます。しかし、時間やお金をそれに取られてしまい、悪い点が徐々にあらわれる段階でもあります。

3.時々、危険なレベルに達する
 行動にはまり始め、通常のレベルではもはや満足できなくなってしまいます。ついには、その人自身や周りの人に、目に見える悪影響が出始めます。本人は分かっていますが、心地良さや快感に負けてしまうことが増えてきます。

4.依存症形成
 その行動が増え、コントロールできなくなり始めます。現実逃避傾向が増し、学校や仕事、家事等の社会的役割を放棄し始めます。さらには、友人らとの交流など元々楽しかったことですらも回避するようになります。周りがそれを指摘すると、逆上するようになります。

5.信用及び生活基盤の崩壊
 行動のコントロールはもはやできず、他者もそれを防ぐことができません。精神面だけではなく、体にも重大な影響があらわれはじめ、取り返しのつかない状況になります。その人が今まで築いてきた社会的信用は無くなり、経済的にも生活は困窮しはじめます。周りから人が去っていきます。

 3のレベルであれば、時間的にも経済的にもそれほど負担なく、医学的な方法で回復に向かう道筋をつけることができると思います。(それでも、短期間での治癒は難しいと思います)
 次回さらに詳しくみていきましょう。
 参考文献:Internet Addiction:K.S.Young, C.Nabuco、 白川教人氏・K.T.Frankらの著作物等
02:24 未分類

依存について考える その1

2018/08/02

 みなさん こんにちは。今回は依存症について考えてみましょう。そもそも「依存症」とは何なのでしょうか??

 「依存」そのものは、ほとんどの方が持っています。これがあるからイコール異常というわけではありません。依存を定義付けると「一定のことをくりかえさないと満足できない状況におちいっていること」となります。例えば、かなりキツい筋トレを毎日しないと気が済まない。毎週末、ゴルフに行かないと辛い。2週間に1度、決まった店でラーメンを食べないと苦しい。―などです。これらは誰もが持っているものだと思います。誰にも迷惑をかけていませんし、異常ではありません。「趣味」と言って良いと思います。

 しかし、「依存」は度が過ぎると依存症となってしまいます。例えばお酒を適度に嗜むことは、大人に許された楽しみです。しかし、体を壊してしまで飲むことは、もはや楽しみのレベルを逸脱しています。同様に買い物も適度にすれば日々に潤いをもたらします。しかし、返済不可能な額の借金をしてまで購入するとなると話は別です。

 「生活に支障を来しているか否か」―これが依存症と(正常な)依存の境界になります。しかし、この境界は見えません。境界を踏み越えてしまっても、いつでも(病的な依存症から)戻っていけると、渦中の本人は思っているでしょう。しかし、一度境界を踏み越えてしまった場合、自然に元に戻ることは通常は困難です。

 境界を踏み越えないようにするにはどうしたら良いのでしょうか?
 境界を踏み越えてしまった場合、どのようにしたら戻れるのでしょうか?
 この質問にお答えするには、人が病的な依存におちいってしまうとき、脳で何が起きているのかを理解しなければなりません。~次回に続く~

 参考文献:Internet Addiction:K.S.Young, C.Nabuco、 白川教人氏・K.T.Frankらの著作物等
11:22 未分類

2018/07/02
みなさんこんにちは。

前回のブログは読んでいただけたでしょうか?今回はその続きです。

前回書きました症状*は、『健忘』・『離人』・『疎隔』・『同一性混乱』・『同一性変容』の5つの症状のどれかに当てはまります。これらの症状があると、解離性障害という疾患が疑われます。

『うつ病』や『パニック障害』はメディアでもよく取り上げられています。しかし『解離性障害』という言葉は殆ど目にしません。しかし、実はとても現代的な病気であり、実際大変多いです。

『健忘』・『離人』・『疎隔』・『同一性混乱』・『同一性変容』等の症状は、そもそも病院で診てもらうべきものなのかとお思いの方もいらっしゃると思います。しかし、「生きている実感が無く、最近のことを思い出そうとしても何となくしか思い出せない」「記憶のないときに、なにかをしてしまっている」等の症状は、本人にとっては大変な事だと思います。

解離性障害の患者さんは、今までの様々な苦しさや辛さから、現実に対してマイナスに捉えがちであり、眼の前の問題を避けてしまう傾向があります。しかし、適切な治療により、解離性障害の多くは改善していきます。今の辛さを根本的に変えていくことができるかもしれません。

今回の症状にあてはまる方がいらっしゃいましたら、ぜひ、精神科治療という選択肢があることを思い出してください。

参考文献等:柴山雅俊氏の著作等


*
・電話で誰かと話をしたり、メールやLINE等をした履歴があるのに、そのことについての記憶がない。
・自分が書いたメモを見ても、それを自分が書いたという記憶がない。または非常に不確か。
・自分が買った記憶のないものが家の中にある。
・物がいつの間にか移動して探しものをよくする。

・『自分がここにいる』という実感がない時がある。
・自分には感情というものがないのではないかと思う時がある。
・自分自身がロボットのように無機質に感じる時がある。自動的にただ作業をこなしているだけ。

・いつもの家族や職場、学校なのに、どこかなじみがない感じがする時がある。
・家族、親戚、友人であることは間違いないのに、なぜか見知らぬ人のような気がする時がある。
・自分自身が、周囲から明らかに違う浮いた存在に感じる時がある。
・現実の中にいるはずなのに、夢やスクリーンを見ているように感じる時がある。

・自分が本当に昨日までの自分なのか時に自信を持てなくなる。

・自分の中に別の自分がいる気がする。それは時に、子供であったり、自分とは別の性別だったりする。記憶がないときに自分の身体を乗っ取られて、何かされている気がする。
07:43 未分類
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